Fiscast
トップテーマ不登校・いじめ・こどもの居場所

議論が活発関連事業 11令和7年度当初 105億円令和8年度要求 140億円

不登校・いじめ・こどもの居場所

小・中学校の不登校は約35万4千人、いじめの重大事態は1,405件と、いずれも令和6年度に過去最多となった。文科省は校内外の教育支援センターで学ぶ不登校児童生徒向けに「特別の教育課程」を新しく設ける制度設計を進めており、こども家庭庁は首長部局を軸に、学校の外で支える仕組みを広げようとしている。問われているのは、学校の中と外のどちらで学びと居場所を保障するのか、重大事態調査の実効性をどう担保するのか、そして人と予算をどこまで積むのかである。

選んだ理由:いじめ・不登校(文科省)、居場所・ヤングケアラー(こども家庭庁)、ひきこもり(厚労省)。令和8年度要求で新規事業が複数。

中心の会議体・場

上の会議体は、テーマの中心として手で選んだもの。事業と会議体の自動の紐付け(事務局の課室の一致)は、テーマの事業11件のうち10件。

ブリーフ

対象期間 2026-08-01〜2026-09-29。「読み筋」は資料からの要約・解釈です。

2026.09.25 教育課程企画特別部会 第18回:次期学習指導要領の審議まとめ(案)に不登校の特別の教育課程を盛り込む

文部科学省

読み筋WGの取りまとめ(8月)が、学習指導要領改訂の本体の文書に取り込まれた段階にある。10月の部会で了承されれば、制度の骨格はほぼ固まるとみられる。

原文:教育課程企画特別部会(第18回)配付資料 / 審議まとめ(案)1/4 / 教育課程部会(第136回)開催案内

2026.09.03 委託調査研究:発達障害等のある児童生徒の不登校率は13.26%

文部科学省

読み筋不登校対策と特別支援教育を、校内で別々の担当として扱う体制の見直しを促すデータと読める。WGの取りまとめ案が示した、複数の特例を俯瞰する「2階シート」の運用とも関わる。

原文:文科省 特別支援教育・不登校担当の校内連携体制の在り方に関する調査研究 / 報告書 / リシード記事(2026-09-28)

2026.08.31 令和9年度概算要求:首長部局のいじめ・不登校支援に6.4億円、居場所・体験の基盤事業を新規に7億円

こども家庭庁

読み筋学校にも地域にもつながれていない子を、教育委員会ではなく首長部局の側から支える線を太くしようとしている。文科省の校内外センター強化と、対象や役割をどう分けるかが、予算編成で問われそうだ。

原文:令和9年度予算概算要求の概要(主な新規・拡充事業) / 令和9年度予算概算要求のポイント / こども家庭庁 予算ページ

2026.08.25 令和9年度概算要求:不登校・いじめ対策等に122億円(前年度100億円)

文部科学省

読み筋事業の伸びは、センターの人員配置とSC・SSWに集中している。特別の教育課程の実施場所となる校内外センターの受け皿を、制度の開始(R10〜)の前に固めようとしていると読める。

原文:令和9年度概算要求主要事項(初等中等教育局) / 令和9年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧

2026.08.04 不登校WG 取りまとめ(案)を公表(6/29の第9回で議論、会議後に修正)

文部科学省

読み筋制度の器は学校と教育委員会の中に置かれ、フリースクールなどの民間団体は連携先という位置づけにとどまっている。センターが最低限満たすべき要件は法令化も含めて「引き続き検討」とされており、ここが次の焦点になるとみられる。

原文:WG取りまとめ(案)※会議後修正 / WG 第9回 配付資料 / WGページ

次に来ること

流れ

日付できごと種類
2023.03.31「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を大臣決定 文部科学省計画・決定
2023.12.22「こどもの居場所づくりに関する指針」を閣議決定 こども家庭庁計画・決定
2024.08「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を改訂 文部科学省計画・決定
2024.10.31令和5年度 問題行動・不登校等調査を公表(小・中の不登校34万6,482人) 文部科学省報告書
2024.11.08いじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議(第4回)、開催要領を一部改正 こども家庭庁会議
2025.06.11改正自殺対策基本法を公布(こどもの自殺防止について学校の責務を明記、地域の協議会を設置可能に) 国会法律
2025.10.07中教審 不登校児童生徒に係る特別の教育課程WG が初会合 文部科学省会議
2025.10.29令和6年度調査を公表:不登校約35万4千人、いじめ認知約76万9千件、重大事態1,405件で、いずれも過去最多 文部科学省報告書
2025.11.06不登校対策推進本部(第5回):COCOLOプランの進捗、校内教育支援センターの設置率58.7%(R7.6) 文部科学省会議
2025.11.26いじめ自殺の遺族が、いじめ防止対策推進法の改正を求める署名6万4,792筆を衆参両院と文科省に提出 国会出来事
2025.12.26令和8年度予算案を閣議決定(文科省の不登校・いじめ対策等は100億円。額はR9要求資料の前年度予算額による) 政府予算
2026.01.16関係省庁連絡会議(第6回):SNS上の暴力動画の拡散を受けた緊急対応をまとめる(14日には文科省が緊急の教育長会議) こども家庭庁会議
2026.01.30SNS上の暴力行為等の動画拡散を受けた緊急対応を通知(見過ごされた事案の確認、警察との連携) 文部科学省計画・決定
2026.03.31いじめ防止対策協議会(令和7年度):重大化を防ぐための留意事項集・研修用事例集を示す 文部科学省会議
2026.06.29不登校WG(第9回)で取りまとめ案を議論 文部科学省会議
2026.08.04不登校WG 取りまとめ(案)を公表(会議後修正版) 文部科学省報告書
2026.08.25令和9年度概算要求:不登校・いじめ対策等122億円、校内外教育支援センターは25億円(前年度12億円) 文部科学省予算
2026.08.31令和9年度概算要求:地域全体でいじめ・不登校に向き合う体制づくりに6.4億円、居場所・体験の基盤事業を新規に7億円 こども家庭庁予算
2026.08.31次期学習指導要領の審議まとめ(素案)を公表 文部科学省報告書
2026.09.25審議まとめ(案)を提示。不登校の特別の教育課程を「2階」の新制度として明記 文部科学省報告書

論点

論点文科省・中教審(WG取りまとめ案R8.8、審議まとめ案R8.9、R9概算要求 ほか)別の立場(出典は各行)いま
不登校の子の学びと居場所を、誰がどこで支えるか教育委員会が管理・運営する校内外の教育支援センターを主な実施場所として、特別の教育課程を組む。居場所機能の活動は教育課程の外に置き、NPOなどは連携先とする。こども家庭庁(R9要求):学校にも地域社会にもつながれていない不登校のこどもについて、首長部局が「こどもの育ち」の観点から支える仕組みを実証する(1.8億円)。並走している。文科省のR9資料は両庁を「連携して対応」と整理しているが、対象をどう分けるかは明示されていない。
学び直しをどう評価するか個別の指導計画に基づいて評価し、計画の写しを添付すれば指導要録への記入に替えられるようにする。特例の下での評価が高校入試で適切に勘案されることを目指す。現行制度(WG取りまとめ案の課題整理):在籍学年の教育課程に基づいて評価するため、下学年の学び直しをしても「1」や「-」になり、意欲が下がるとの指摘がある。方向性は整理済み。具体的な運用は「運用の手引き」で詰める。
高校段階を対象にするか当面は義務教育段階に限る。高校は、学校設定科目の単位上限の引き上げなど通常の教育課程の柔軟化で対応し、特例の成果を見て将来検討する。R6調査通知:高校の不登校生徒は約6万8千人で、前年度から減少した。R9要求では、不登校経験者などの受け皿として定時制・通信制の振興を挙げている。未着手(将来の検討課題)。
いじめ重大事態調査の実効性ガイドラインを改訂した(R6.8)。こども家庭庁は、第三者性の確保で調査の開始が遅れる問題に対し、いじめ調査アドバイザーによる助言と研修を行う(R9要求0.1億円)。いじめ自殺の遺族(東洋経済 2025-11-26):学校が第三者委員会の結論を否定しても是正できないとして、罰則規定の追加を含む法改正を求める署名を提出した。継続中。参院文教科学委員長が改正の機運づくりに言及している。確認できた範囲では、改正案は提出されていない。
SNSでの暴力動画拡散と加害への対応犯罪に当たり得る暴力行為やいじめは警察と連携し、懲戒や出席停止を含めて毅然と対応する。見過ごされた事案がないか緊急に確認する(R8.1.30通知)。関係省庁連絡会議の資料2(R8.1.16):動画の投稿・拡散そのものが誹謗中傷など新たな人権侵害を生むおそれがあるとして、法務省も加わって相談窓口を一覧にし、周知する。対応中。R9要求で、ネットいじめなど学校だけでは難しい事案への伴走支援(2億円の内数)を計上した。
支援人材と受け皿は足りるかR9要求で、SC・SSWに95億円(前年度88億円)、校内センター支援員の補助対象を4,000校から7,000校に、アウトリーチを130人から300人に増やす。実態(R6調査通知・推進本部資料):専門的な相談や指導を受けていない不登校児童生徒は約13万6千人。校内教育支援センターの設置率は58.7%(R7.6)。要求段階。12月の予算政府案で規模が決まる。
発達障害と不登校の重なりWG:障害や特異な才能のある子もいるため、「2階シート」などで複数の特例を俯瞰し、一貫した支援にする。文科省の委託調査(R8.8〜9公表):発達障害等のある児童生徒の不登校率は13.26%(全体3.71%)。通常学級での組織的な合理的配慮などが、不登校率の低さと関連していた。調査は432校の回答で、偏りへの留意が付いている。政策への反映はこれから。

立場Aは文科省・中教審の資料。こども家庭庁の要求資料と通知・連絡会議資料は、それぞれの行に出典名を書いた。遺族の主張は報道(東洋経済オンライン)による。

人

中心の会議体の構成員(公開名簿より)。

中央教育審議会 教育課程部会 不登校児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループ

名簿の時点 令和8年4月30日(名簿ページの日付)

お金

このテーマに束ねた11事業。令和7年度当初 105億円 → 令和8年度要求 140億円。

事業府省当初要求
いじめ対策・不登校支援等総合推進事業文部科学省93.7億円118億円
こどもの居場所づくりコーディネーター配置等支援事業こども家庭庁8.8億円6.6億円
ひきこもりに関する地域社会に向けた普及啓発と情報発信の実施厚生労働省1.2億円1.2億円
ひきこもり支援者支援事業厚生労働省0.32億円0.32億円
ひきこもり支援実施機関支援力向上研修厚生労働省0.19億円0.19億円
地域におけるいじめ防止対策の体制構築の推進こども家庭庁0.14億円7.3億円
ヤングケアラー相互ネットワーク形成推進事業こども家庭庁0.11億円0.11億円
地域における不登校のこどもへの切れ目ない支援事業こども家庭庁0.02億円2.8億円
ひきこもり支援推進事業(生活困窮者就労準備支援事業費等補助金関係)厚生労働省0円—
こどもの居場所づくり支援体制強化事業こども家庭庁0円4.1億円
民間企業等による自治体と連携したヤングケアラーへの食支援こども家庭庁0円0.20億円

注目点

  1. 10月5日の教育課程部会で、不登校の特別の教育課程を含む審議まとめ(案)がどう扱われるか。
  2. 10月下旬に例年公表される令和7年度の問題行動・不登校等調査で、不登校の増加の鈍化と、いじめ重大事態の件数がどうなるか。
  3. 12月の令和9年度予算政府案で、文科省の校内外センター強化(25億円要求)と、こども家庭庁の首長部局モデル(6.4億円要求)がどこまで残るか。
  4. 校内外の教育支援センターが満たすべき要件の法令化と、「運用の手引き」の中身(R10からの先行実施に向けて)。
  5. いじめ防止対策推進法の改正を求める遺族の署名を受けて、国会で議員立法の動きが出るか。

出典

この解説は、AI が公開資料と報道を読んで出典つきでまとめ、別の AI が抜き取りで事実確認したものです。数字や日付は出典で確かめてから使ってください。誤りは [email protected] へ。

画面で見る(年表の絞り込みなど) テーマ一覧