シビアアクシデント時の放射性物質放出に係る規制高度化研究事業(東京電力福島第一原子力発電所事故分析結果の反映)
原子力規制委員会(長官官房 技術基盤グループ シビアアクシデント研究部門)の事業。令和7年度当初予算 6.7億円(前年度 8.5億円)、令和8年度概算要求 6.3億円。主な支出先は国立研究法人日本原子力研究開発機構、一般財団法人 電力中央研究所。
事業の目的
原子力規制委員会は、令和3年3月、令和5年3月及び令和6年6月に東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故の調査分析に係る中間取りまとめを発行した。そこでは、原子炉建屋への水素漏えい、溶融炉心の挙動、放射性物質の放出等について安全上の懸念が明らかになった。本事業は、このような安全上の懸念を規制において解決するために必要な技術的な知見を取得することを目的とする。
また、原子力規制委員会は、特定重大事故等対処施設等の機能を考慮して、原子力災害対策指針で定める緊急時活動レベル(EAL)※の枠組みの見直しを検討する予定である。そのため、令和2年9月のEALの見直し等への対応に係る会合で提示された課題について順次検討を進めている。本事業では、これに対応し放射性物質の環境への放出に関する技術的知見を蓄積するとともに、原子力発電所から放出される放射性物質の違い(種類、量等)による住民の被ばく影響を予め推計して、防護措置の効果に関する技術的知見を蓄積することを目的とする。
※緊急時活動レベル(EAL)
原子力規制委員会では、防護措置(避難、屋内退避等)を判断するための基準として、「原子力災害対策指針」に、施設の状態等による判断基準であるEALの枠組みを定めている。事業者は、事故が発生した原子力発電所の状態から具体的なEALを定め、国に届け出る必要がある。
事業の概要
1F事故調査結果の規制への反映の要否を検討するため、原子炉建屋への水素漏えい、溶融炉心の挙動、放射性物質の放出等について調査、実験、評価手法の整備等を行い、技術的知見を取得する。
特定重大事故等対処施設等の機能を考慮したEALの見直し検討のため、放射性物質の環境への放出に関する技術的知見を蓄積する。また、原子力発電所から放出される放射性物質の違いによる住民の被ばく影響を予め推計する手法を整備する。
現状・課題
1F事故の調査分析に係る中間取りまとめ、令和2年9月のEALの見直し等への対応に係る会合では、以下の課題が明らかになった。
(ア)事故対策の実施を妨げた原子炉建屋の水素爆発を防ぐ必要がある。短期的な課題解決として令和4年度に格納容器ベントの位置付けが明確にされたが、その場合は周囲環境へ放射性物質放出されることになる。そのため、格納容器から原子炉建屋に水素が漏えいする経路や量等を明らかにしてベント実施までの余裕を確認する必要がある。
(イ)原子炉格納容器内の観測調査で、原子炉より放出された溶融炉心の分布やその周囲のコンクリート構造物の損傷状況が確認された。これらの事象については、従来の想定とは異なる様子が確認され、溶融炉心が構造物に与える影響等について懸念が生じた。その構造物に与える影響等を評価するため、溶融物による構造物侵食のメカニズムについて知見の拡充が必要である。
(ウ)原子炉格納容器の上部のシールドプラグ下面や非常用ガス処理系配管で高濃度の汚染が確認された。これらの放射性物質の移行挙動はこれまでは想定されていなかった。放射性物質の複雑な移行挙動を把握するためには、炉心損傷の開始や事象の進展、放射性物質挙動に関する知見の拡充が必要である。
(エ)EALについては、新規制基準により整備された設備、手順等を踏まえて、従来想定されていた事故進展が早いシナリオに加えて、格納容器ベントによる管理放出シナリオや事故進展が非常に遅いシナリオ(格納容器破損の緩和が一部成功する場合)等を考慮する必要がある。
予算の推移
| 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度要求 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0円 | 10.2億円 | 9.9億円 | 8.5億円 | 6.7億円 | 6.3億円 |
当初予算。うち特別会計 6.7億円(エネルギー対策)。
支出先(国から直接、上位10者)
令和6年度の支出実績。支出先は全56者。このほか再委託・再交付の先が 47 件あります(金額は上の支出と重なるため合計しません)。
| 支出先 | 法人番号 | 契約方式 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 国立研究法人日本原子力研究開発機構 | 6050005002007 | 随意契約(その他) | 3.2億円 |
| 一般財団法人 電力中央研究所 | 4010005018545 | 随意契約(その他) | 1.4億円 |
| アドバンスソフト株式会社 | 6010401058102 | 一般競争契約(最低価格) 1者 | 0.69億円 |
| 株式会社バルカー | 5010701020092 | 一般競争契約(最低価格) 1者 | 0.60億円 |
| みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 | 9010001027685 | 一般競争契約(最低価格) 3者 | 0.27億円 |
| 国立大学法人群馬大学 | 9070005001680 | 随意契約(その他) | 0.17億円 |
| 株式会社FMIC R&D | 3012401037443 | 一般競争契約(最低価格) 2者 | 0.17億円 |
| 株式会社太平洋コンサルタント | 7040001049885 | 一般競争契約(最低価格) 1者 | 0.10億円 |
| 株式会社先端力学シミュレーション研究所 | 2030001047878 | 一般競争契約(最低価格) 5者 | 0.06億円 |
| NAIS株式会社 | 4050001004644 | 随意契約(不落・不調) | 0.05億円 |
同じ施策の事業
政策:原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守ること
施策:2 原子力規制の厳正かつ適切な実施と技術基盤の強化
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- 原子力施設における外部事象等に係る安全規制研究事業 10.9億円
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- 原子力安全情報の収集・分析評価・基準整備事業 2.8億円
- 原子力規制高度化研究拠出金 2.2億円
根拠法令・関係する計画
- 特別会計に関する法律 第八十五条
- 特別会計に関する法律施行令 第五十一条
- ・「今後推進すべき安全研究の分野及びその実施方針」(令和6年度以降の安全研究に向けて)(令和5年7月12日原子力規制庁)
- ・「原子力規制委員会における安全研究の基本方針」(令和元年5月29日改正 原子力規制委員会)
- ・令和6年度安全研究計画
比較・検索できる画面で見る レビューシート原本(行政事業レビュー見える化サイト)
出典:行政事業レビュー見える化サイト 令和7年度版のレビューシート(事業番号 3111)を加工。