カーボンリサイクル・次世代火力発電の技術開発等事業
経済産業省(資源・燃料部 燃料環境適合利用推進課)の事業。令和7年度当初予算 128億円(前年度 166億円)、令和8年度概算要求 71.0億円。主な支出先は(研)新エネルギー・産業技術総合開発。
事業の目的
・GX、DXに向けて、データセンターや半導体工場の新増設等がなされ、電力需要が今後も増加する見込みがある。他方、火力発電の稼働率が下がり、収益の不確実性が増す中で、火力発電の休廃止が進み、既設火力発電の設備容量は減少していくと思われる。
・火力発電の発電電力量が減少する一方、再生可能エネルギーの導入の進展していく中で、火力発電に求められる発電容量は変わらない。むしろ時間ごとの出力変動が大きくなる中で、調整力としての機能向上が一層求められる。このため、火力発電の調整電源としての機能を強化するため、こうした課題に対応した石炭ガス化複合発電(IGCC)の技術的確立や既設の火力発電に対する負荷変動や機動性に優れたタービンやボイラーの技術開発に取り組む。
・令和5年策定「カーボンリサイクルロードマップ」を踏まえ、カーボンリサイクルは、技術開発・社会実装、国際展開、CO2サプライチェーンの構築を推進していくこととされており、コスト低減を図りつつ、2030年代に技術の成熟度が高いものから社会実装を進めていくことを目指している。また、これまで、個別の技術に対する開発は各事業者により行われてきたが、社会実装を加速するためには、CO2分離回収から輸送、CO2利用まで一貫した技術実証を行う必要があるところ、全体システムでの課題に対応していく必要がある。
・加えて、これまで開発してきた技術等の事業化を見据え、国際展開を検討していく必要があるが、カーボンリサイクルにおける環境価値なども含めて国際展開の在り方について検討していく。
事業の概要
・S+3Eを大前提に、2050年カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーの導入が拡大していく中で、火力発電の調整機能向上がこれまで以上に重要となる。このため、次世代の高効率火力発電として開発しているIGCCについて、システムの安定性、IGCCの運転安定性を向上させ、調整力機能を高めるとともに、運転維持コストの低減を図る技術開発を実施する。
・また、カーボンリサイクルロードマップに基づき、カーボンリサイクルを活用した場合でも既存の商品と価格競争力を持てるよう低コスト化することを目標に、火力発電所等から発生するCO2の分離・回収技術や回収したCO2を活用したカーボンリサイクルに係る技術開発を実施する。加えて、CO2サプライチェーン構築に向けて、CO2分離回収、輸送、カーボンリサイクル技術製品の製造まで一貫した検証等を行う。
・カーボンリサイクル分野における環境価値の考え方の普及・国際的なルール整備に向けて、カーボンリサイクル技術のLCA評価について関係国の動向調査、関係国との協力・調整にあたっての課題整理等を行う。また、日本のカーボンリサイクル技術等にかかる国際的な展開及び各国における当該技術の導入に向けた環境整備のための技術交流、調査事業等を実施する。
現状・課題
・2050年カーボンニュートラル実現を見据えた上で、適切な火力ポートフォリオを構築しながら、次世代化・高効率化を推進しつつ、CCUS/カーボンリサイクル等の火力発電からのCO2排出を削減する措置や、火力運用の効率化・高度化のための技術開発・導入環境整備の推進に取り組むことが必要になっている。また、現状の技術を踏まえれば、火力発電は、再生可能エネルギーの変動性を補う調整力として重要な機能を有している。
・また、2023年6月、経済産業省は、関係省庁と連携し、新たに「カーボンリサイクルロードマップ」を策定。この中で、①カーボンリサイクルの技術開発を通じたコスト低減、②より低コストなCO2分離・回収技術の確立、③CO2のサプライチェーンを構築していくことの必要性などが示されたところ。
・こうした課題を解決していくため、既存火力に加え、次世代火力発電技術であるIGCCについて負荷変動に対応する調整能力の向上を目指すとともに、低コスト化を目指した新たなCO2分離回収技術の確立、カーボンリサイクル技術を活用した効率的な合成方法の確立が重要であり、本事業では、これらの課題に対応した技術開発や社会実装に向けた検討を行う。
・加えて、こうした技術を国際展開していくことも重要。第7次エネルギー基本計画において、「アジアや新興国へのカーボンリサイクル技術や火力発電所等への水素・アンモニア等混焼や効率的な運転などの脱炭素技術の技術協力や世界の脱炭素化に貢献していくことが重要として、カーボンリサイクル等のクリーンエネルギー分野でのイノベーション・社会実装に向けた技術協力を進め、我が国の優れた脱炭素技術の普及を通じて、世界全体での脱炭素に貢献していく」としている。
予算の推移
| 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度要求 |
|---|---|---|---|---|---|
| — | 0円 | 176億円 | 166億円 | 128億円 | 71.0億円 |
当初予算。うち特別会計 128億円(エネルギー対策)。
支出先(国から直接、上位1者)
令和6年度の支出実績。支出先は全47者。このほか再委託・再交付の先が 61 件あります(金額は上の支出と重なるため合計しません)。
| 支出先 | 法人番号 | 契約方式 | 金額 |
|---|---|---|---|
| (研)新エネルギー・産業技術総合開発 | 2020005008480 | 運営費交付金交付 | 183億円 |
同じ施策の事業
政策:6資源エネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進
施策:ー
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(AI基盤モデル及び先端半導体関連技術開発事業) 1,617億円
- 石油備蓄事業(うち国家備蓄石油増強対策事業(石油分)) 1,163億円
- 次世代半導体の量産等に向けた出資事業 1,000億円
- 電源等の立地地域への支援事業(うち電源立地地域対策交付金) 777億円
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 760億円
- 脱炭素成長型経済構造移行推進機構出資金 700億円
- GXサプライチェーン構築支援事業 610億円
- 石油天然ガス田の探鉱・資産買収等事業に対する出資金 563億円
- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金 470億円
- 石油備蓄事業(うち緊急時放出に備えた国家備蓄石油及び国家備蓄施設の管理委託費(石油分)) 468億円
根拠法令・関係する計画
- 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法 第十五条
- 特別会計に関する法律 第八十五条
- 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(令和3年6月策定)
- GX2040ビジョン~脱炭素成長型経済構造移行推進戦略~(令和7年2月閣議決定)
- 第7次エネルギー基本計画(令和7年2月閣議決定)
- 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(令和5年7月閣議決定)
比較・検索できる画面で見る レビューシート原本(行政事業レビュー見える化サイト)
出典:行政事業レビュー見える化サイト 令和7年度版のレビューシート(事業番号 6083)を加工。