カーボンプライシング運営事業
経済産業省(イノベーション・環境局GXグループ 環境経済室)の事業。令和7年度当初予算 31.3億円(前年度 14.5億円)、令和8年度概算要求 37.5億円。主な支出先は株式会社野村総合研究所。
事業の目的
2050年カーボンニュートラル実現の国際公約達成と、我が国の産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けては、今後10年間で150兆円超の官民GX投資が必要である。令和7年5月には、改正GX推進法が成立し、カーボンプライシングを具体化するための制度の大枠が法定化されたところ。本事業では、2026年度から本格稼働する排出量取引制度の執行のための措置や、2028年度からの化石燃料賦課金の導入に向けた環境整備等、我が国のカーボンプライシング制度を円滑に実施することを目的とする。
【EBPMアクションプランの政策目標】○2050年カーボンニュートラルに向けたGXへの投資(GX実現に向けた基本方針、GX推進戦略):2030年度の温室効果ガス46%削減及び2050年カーボンニュートラルの国際公約の達成我が国のエネルギー需給構造の転換、さらには産業構造・社会構造の変革を通じ、日本経済の産業競争力強化・経済成長につなげていく。
事業の概要
2026年度から開始する排出量取引制度の執行のため、必要な措置を講ずる。
【EBPMアクションプラン関連事業】:2050年カーボンニュートラルに向けたGXへの投資(GX実現に向けた基本方針、GXへの投資(GX実現に向けた基本方針、GX推進戦略)
現状・課題
気候変動対策が人類共通の課題となって久しい。我が国も2020年、当時の菅総理が2050年カーボンニュートラルを宣言して以降、脱炭素に向けた取組を着実に実行してきた。世界的にも、第2次トランプ政権の誕生等、国際政治情勢によって若干の影響を受けつつも、現在でもGDPベースで約7割の国・地域がカーボンニュートラル目標を表明。気候変動対策がグローバル規模で重要な課題であることに変わりはない。
事実、その米国においても、政権交代以降もGAFAMをはじめとした産業界による脱炭素電源への大型投資やサプライチェーンの脱炭素化が進んでおり、産業界の脱炭素への姿勢は揺らいでいないことが伺える。
これらの取組が継続して行われているのは、これが単に気候変動対策のみを目的にしたものではないからだ。脱炭素への投資を契機に経済成長を実現し、気候変動対策と同時に産業競争力を強化しようとする姿勢が各国政府、グローバル企業に浸透してきており、今や環境政策と経済政策は一体に講じられるものとなってきている。
実際に、欧州では本年2月に欧州委員会が発表した「クリーン産業ディール」において、気候変動に係る目標を維持しつつ、同時に産業競争力強化を実現するための方針が打ち出されている。また中国でも、トランプ政権発足後のダボス会議において、丁副総理が演説で「中国が積極的に気候変動に対応する決心と行動は変わり得ない」と表明しており、引き続き太陽光電池等、再生可能エネルギーへの投資を中核とする産業政策を展開、世界シェアを拡大している。
このように、足下でも市場において製品やサプライチェーンの脱炭素化が求められるようになっている中、脱炭素への対応が遅れてしまえば、将来の国際市場から排除されてしまうリスクもある。他方、むしろ他のプレイヤーに先駆けて脱炭素技術の開発や実装といった取組を進めることで、将来的に産業競争力を強化することも可能になる。日本としても、これを日本経済を再び成長軌道に乗せることのできるチャンスと捉えて取り組んでいく必要がある。
また、我が国は資源に乏しく、消費エネルギーの太宗を海外からの化石燃料の輸入に頼っており、自動車や半導体製造装置などの高付加価値品の輸出で稼いだ分の大半を化石燃料等の輸入で消費してしまっているという状況もあり、エネルギー安定供給・安全保障の観点からも、脱炭素への取組が重要である。
これらの背景から、我が国ではこの脱炭素への取組を成長の起爆剤として、産業競争力強化とエネルギー安定供給、脱炭素を三位一体で実現しようとするグリーントランスフォーメーション(GX)政策を進めているところ。
特に、2023年の「GX基本方針」策定以降、このGX政策の中核として、官民合計で150兆円超のGX投資の実現を目指す「成長志向型カーボンプライシング構想」という制度・支援一体型の政策パッケージを実行している。具体的には、企業のGX投資を促進するため、
① GX経済移行債を活用し、2023年から10年間で20兆円規模の先行投資支援を行うとともに、
② 無償割当方式による排出量取引制度を2026年度から本格稼働、化石燃料賦課金を2028年度から導入、2033年度からは発電事業者への排出枠の有償オークションを導入するなど、カーボンプライシングを段階的に導入することとしている。
投資支援とカーボンプライシングは一体の政策であるため、20兆円分のGX経済移行債の償還には、このカーボンプライシングの収入が用いられる。更に、上述のように、先行投資支援と時間差を付け、当初GXに取り組む期間を設けた後にカーボンプライシングを導入すること、またその導入を段階的に行い、当初低い負担から中長期的に炭素価格が上昇していく予見性を予め示すことで、先んじて排出削減を行うインセンティブを生み出し、事業者のGX投資を更に促進する設計としている。このように投資支援とカーボンプライシングを一体の政策として行う成長志向型カーボンプライシング構想により、150兆円超の官民投資を呼び出し、我が国のGX実現を目指している。
予算の推移
| 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度要求 |
|---|---|---|---|---|---|
| — | 0円 | 16.0億円 | 14.5億円 | 31.3億円 | 37.5億円 |
当初予算。うち特別会計 31.3億円(エネルギー対策)。
支出先(国から直接、上位1者)
令和6年度の支出実績。支出先は全11者。このほか再委託・再交付の先が 10 件あります(金額は上の支出と重なるため合計しません)。
| 支出先 | 法人番号 | 契約方式 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 株式会社野村総合研究所 | 4010001054032 | 一般競争契約(総合評価) 1者 | 14.5億円 |
同じ施策の事業
政策:6資源エネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進
施策:ー
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(AI基盤モデル及び先端半導体関連技術開発事業) 1,617億円
- 石油備蓄事業(うち国家備蓄石油増強対策事業(石油分)) 1,163億円
- 次世代半導体の量産等に向けた出資事業 1,000億円
- 電源等の立地地域への支援事業(うち電源立地地域対策交付金) 777億円
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 760億円
- 脱炭素成長型経済構造移行推進機構出資金 700億円
- GXサプライチェーン構築支援事業 610億円
- 石油天然ガス田の探鉱・資産買収等事業に対する出資金 563億円
- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金 470億円
- 石油備蓄事業(うち緊急時放出に備えた国家備蓄石油及び国家備蓄施設の管理委託費(石油分)) 468億円
根拠法令・関係する計画
- 特別会計に関する法律 第八十五条
- 特別会計に関する法律施行令 第五十条
- EBPMアクションプラン2024(令和6年12月26日)
- EBPMアクションプラン 進捗管理・点検・評価表2025(令和7年5月26日)
- GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂(令和2年2月18日)
- GX実現に向けた基本方針(令和5年2月10日閣議決定)
- 成長戦略実行計画(令和3年6月18日 閣議決定)
- 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(令和4年6月7日 閣議決定)
比較・検索できる画面で見る レビューシート原本(行政事業レビュー見える化サイト)
出典:行政事業レビュー見える化サイト 令和7年度版のレビューシート(事業番号 6097)を加工。