先進的CCS支援及び国内外での貯留適地調査事業
経済産業省(資源・燃料部 燃料環境適合利用推進課)の事業。令和7年度当初予算 16.8億円(前年度 11.5億円)、令和8年度概算要求 130億円。主な支出先は独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構。
事業の目的
以下(1)~(6)の事業を実施し、令和12年(2030年)頃を目途に年間合計600万~1,200万トンのCCS事業の開始を目指す。
(1)2030年代初頭からの事業開始に向けて、事業者主導による横展開可能なビジネスモデルの確立を目指す「先進的CCS事業」を選定し、国が集中的に支援を実施するもの。パイプライン案件については、CO2排出源から、輸送方法、貯留地の特定に至るまで、CCSバリューチェーン全体の立ち上げを可能とする事業モデルの確立を目指す。また、船舶案件については、貯留地と排出源の組み合わせの最適化やCO2輸送効率化を目指すべく、CO2回収源のクラスター化や船舶輸送効率化のための仕組みづくりを行う。
(2)CCS事業の支援措置の在り方についての中間整理を踏まえ、CCSのコスト差に着目した支援等を具体化していく。
(3)(4)国内外での新たなCO2貯留適地の確認に向け、地質構造調査等を実施し、貯留適地の拡大を目指す。
(5)CCS事業化に向け、技術的課題の解決を図るとともにJOGMECの業務遂行に必要な知見の蓄積を図るため、調査研究等を行う。
(6)CCSの実施にあたっては、CO2を貯留する地域等でのCCSへの理解促進が必要であり、そのため関係する地域の理解促進に必要な環境整備事業を行う
事業の概要
(1)「先進的CCS事業」に関して、地上設備の詳細設計や貯留に有望な地域の試掘の支援等を行う。
(2)CCSのコスト差支援等の具体化に向けた検討を行う。
(3)新たなCO2貯留ポテンシャルの確認を目的とした国内での地質調査等を実施。
(4)海外でのCO2貯留に向け、地質構造調査等を行う。
(5)事業化に向けて解決すべき技術的課題に関する動向調査や技術開発を行う。
(6)地域の理解促進に向け、関係する地域が行う説明会や勉強会の実施支援を行う。
現状・課題
(1)CCSのバリューチェーンは、分離回収事業、輸送事業、貯留事業に別れており、各事業の中でも種々の多様性や課題を有することから、2030年代初頭までの間にCCS事業を開始する準備を進めるためには、CCSバリューチェーンを構成する分離回収事業者、輸送事業者、貯留事業者が一体となってビジネスモデルや回収CO2の性質・量、輸送インフラ、貯留地開発などの検討を進め、かつ、それぞれの課題をカバーできるようバリューチェーン横断的に検討を進める必要がある。具体的な各事業の多様性として、CO2回収の対象となる排出ガスの量、温度・圧力、不純物成分、CO2濃度などは、発電所、製鉄所、製油所などの事業分野によって差異があり、また、CO2の輸送手段については、排出源との距離に応じて、パイプライン、内航船、外航船といった手段に分かれ、さらに、貯留地については、その場所や形態について、国内
国外、帯水層
枯渇油ガス田、陸域
海域に分かれており、それぞれが有する課題に対して安全性や効率性などの点を考慮しつつ、事業設計を進める必要がある。加えて、特に、船舶案件については、これまでの検討の結果、貯留地と排出源の組み合わせが最適でなく、CO2輸送効率の観点から非合理的であることが判明しており、更なるコスト低減のためには、これまで実施してきたCO2貯留国や輸出国との対話、液化CO2船舶輸送技術実証や仕様共通化の検討を引き続き進めるとともに、排出地域単位でのCO2集荷・集積(CO2回収源のクラスター化)、船舶輸送効率化のための仕組みづくり等を検討していく必要がある。
(2)分離回収、輸送、貯留のプロセスで構成され、これらの一つでも欠ければバリューチェーンが立ち上がらないというCCS事業の特殊性を踏まえ、足下で事業に必要なキャッシュフローを確保するため、2025年7月に公表した中間整理に基づき、CCSコストと排出事業者が負担するCO2対策コストの差に着目した支援(コスト差支援措置)の実施に向けた検討を進めていく必要がある。
(3)貯留量を推定するために必要な詳細データには、地域偏在性がある他、CO2排出源との距離が近く輸送コストの低減を期待できる沿岸地域のデータは乏しいことから、これらの地域におけるデータ取得、評価を実施していく必要がある。
(4)また、将来的には、越境CCSについても有望なオプションとなり得りうるが、貯留候補となるアジア大洋州地域においてもオイルメジャーなどがCCS貯留適地の開発を始めている。このため、我が国においても、海外における貯留地域を開発し、貯留適地の確保に積極的に取り組むことが重要。
(5)CCSの事業化に向けては、地層の遮蔽能力や圧入性の評価、CO2圧入による誘発地震の検証、圧入CO2の漏洩検知手法の技術開発等といった解決すべき技術的課題が存在する。また、2024年5月に成立したCCS事業法では、JOGMECの業務として、試掘・貯留方法に関する情報提供や、貯留事業者から移管さえる貯留場管理業務(モニタリング、漏洩時応急措置など)、同管理業務に必要な拠出金額の策定などを課している。このため、本事業による技術開発や実証を通じて、CCSに関する技術的課題の解決を図るともに、JOGMECの業務遂行に必要な知見を蓄えることが必要である。
(6)先進的CCS事業として、2030年代初頭からCCS事業の開始が予定されており、CCSに対する懸念の払拭を図るともとに、貯留地域の理解・協力を得るため、本事業により地域理解促進に向けた取組を支援していくことが必要。
予算の推移
| 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度要求 |
|---|---|---|---|---|---|
| — | — | 35.0億円 | 11.5億円 | 16.8億円 | 130億円 |
当初予算。令和7年度は別に補正予算 339億円。うち特別会計 16.8億円(エネルギー対策)。
支出先(国から直接、上位1者)
令和6年度の支出実績。支出先は全12者。このほか再委託・再交付の先が 11 件あります(金額は上の支出と重なるため合計しません)。
| 支出先 | 法人番号 | 契約方式 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 | 4010405009573 | 運営費交付金交付 | 320億円 |
同じ施策の事業
政策:6資源エネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進
施策:ー
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(AI基盤モデル及び先端半導体関連技術開発事業) 1,617億円
- 石油備蓄事業(うち国家備蓄石油増強対策事業(石油分)) 1,163億円
- 次世代半導体の量産等に向けた出資事業 1,000億円
- 電源等の立地地域への支援事業(うち電源立地地域対策交付金) 777億円
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 760億円
- 脱炭素成長型経済構造移行推進機構出資金 700億円
- GXサプライチェーン構築支援事業 610億円
- 石油天然ガス田の探鉱・資産買収等事業に対する出資金 563億円
- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金 470億円
- 石油備蓄事業(うち緊急時放出に備えた国家備蓄石油及び国家備蓄施設の管理委託費(石油分)) 468億円
根拠法令・関係する計画
- 特別会計に関する法律 第八十五条
- 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法 第十一条
- GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂(令和7年2月閣議決定)
- GX実現に向けた基本方針(令和5年2月閣議決定)
- 第7次エネルギー基本計画(令和7年2月閣議決定)
比較・検索できる画面で見る レビューシート原本(行政事業レビュー見える化サイト)
出典:行政事業レビュー見える化サイト 令和7年度版のレビューシート(事業番号 7112)を加工。