高温ガス炉実証炉開発事業
経済産業省(電力・ガス事業部 原子力政策課)の事業。令和7年度当初予算 436億円(前年度 274億円)、令和8年度概算要求 628億円。主な支出先は国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、三菱重工業株式会社。
事業の目的
2050年のカーボンニュートラルの実現には、国内総排出量の約25%を占める鉄鋼や化学を含む産業部門からの削減が必須であり、そのためには大規模かつ安価な水素供給が必要である。高温ガス炉は、従来の軽水炉よりも高温度帯となる800℃以上の高温熱活用や水素製造等の産業利用が期待される。
第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)で「高温ガス炉については、高温熱を活かした準国産のカーボンフリーの水素や熱の供給により、製鉄や化学などの素材産業の脱炭素化への貢献が期待される。(中略)これまで積み上げられてきた高温ガス炉の研究開発の成果を基礎として、HTTRを活用した水素製造試験に向けた更なる挑戦を行うとともに、同志国の英国との国際連携も活用し、産業界との幅広い連携により、実証炉開発を産学官で進めていく」とされており、本事業を通じて2050年には、800℃以上の脱炭素高温熱とカーボンフリー水素製造法により大量の水素を経済的かつ安定的に供給する可能性を念頭に、製鉄や化学等での産業利用に繋げることを最終目標とする。
【EBPMアクションプランの政策目標】○2050年カーボンニュートラルに向けたGXへの投資(GX実現に向けた基本方針、GX推進戦略):2030年度の温室効果ガス46%削減及び2050年カーボンニュートラルの国際公約の達成我が国のエネルギー需給構造の転換、さらには産業構造・社会構造の変革を通じ、日本経済の産業競争力強化・経済成長につなげていく。
事業の概要
本事業では、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、高温ガス炉実証炉の基本設計を行うとともに、要素技術の開発として大型炉心の性能評価及び製作性実証、設計規格、安全基準等の策定の支援を行う。また、2030年までに、800℃以上の高温を利用したカーボンフリーな水素製造法(IS法やメタン熱分解法、高温水蒸気電解)のFSを実施しつつ、800℃以上の脱炭素高温熱源(高温ガス炉)とまずは商用化済みのメタン水蒸気改質法による水素製造技術を用いて高い安全性を実現する接続技術・評価手法を確立する。その際、水素製造量評価技術を開発するため、高温熱源として世界最高温度950℃を実現した高温ガス炉の試験研究炉HTTRを活用して水素製造試験を実施する。加えて、将来的な実証規模のカーボンフリーな水素製造施設と高温ガス炉の接続を見据え、接続に関する機器の大型化の実現性及び成立性を確認するため、機器の概念設計を行う。
2025年度は、実証炉の基本設計、実証炉R&Dとしての計画検討、高温材料の長寿命化を見据えた材料データの取得試験、等を実施する。また、HTTRと水素製造施設の接続に係るプラント詳細設計、機器開発・製作性確認、HTTR設備更新、カーボンフリー水素の要素技術開発、等を実施する。
【EBPMアクションプラン関連事業】:2050年カーボンニュートラルに向けたGXへの投資(GX実現に向けた基本方針、GXへの投資(GX実現に向けた基本方針、GX推進戦略)
現状・課題
世界が脱炭素に舵を切る中、脱炭素資源が限られる我が国の産業がグローバルサプライチェーンで生き残るためには、ゼロカーボン水素を安定供給することが重要な課題。特に鉄鋼や化学を含む産業部門のCO2排出量は国内総排出量の約25%を占めることから、水素還元製鉄等が進められており、大規模かつ経済的な水素供給が必要。
JAEAに設置された高温ガス炉の試験研究炉であるHTTRが再稼働済みであり、熱需要と水素製造の脱炭素化の手段として、商用化を目指した実証炉開発を行うことができる段階にある。
予算の推移
| 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度要求 |
|---|---|---|---|---|---|
| — | — | 47.7億円 | 274億円 | 436億円 | 628億円 |
当初予算。うち特別会計 436億円(エネルギー対策)。
支出先(国から直接、上位2者)
令和6年度の支出実績。支出先は全23者。このほか再委託・再交付の先が 25 件あります(金額は上の支出と重なるため合計しません)。
| 支出先 | 法人番号 | 契約方式 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | 6050005002007 | 国庫債務負担行為等 | 113億円 |
| 三菱重工業株式会社 | 8010401050387 | 国庫債務負担行為等 | 12.1億円 |
同じ施策の事業
政策:6資源エネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進
施策:ー
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(AI基盤モデル及び先端半導体関連技術開発事業) 1,617億円
- 石油備蓄事業(うち国家備蓄石油増強対策事業(石油分)) 1,163億円
- 次世代半導体の量産等に向けた出資事業 1,000億円
- 電源等の立地地域への支援事業(うち電源立地地域対策交付金) 777億円
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 760億円
- 脱炭素成長型経済構造移行推進機構出資金 700億円
- GXサプライチェーン構築支援事業 610億円
- 石油天然ガス田の探鉱・資産買収等事業に対する出資金 563億円
- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金 470億円
- 石油備蓄事業(うち緊急時放出に備えた国家備蓄石油及び国家備蓄施設の管理委託費(石油分)) 468億円
根拠法令・関係する計画
- 特別会計に関する法律 第八十五条
- 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2021年6月18 日)
- EBPMアクションプラン2024(令和6年12月26日)
- EBPMアクションプラン 進捗管理・点検・評価表2025(令和7年5月26日)
- GX2040ビジョン~脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂~(2025年2月18日)
- エネルギー基本計画(2025年2月18日閣議決定)
- 成長戦略実行計画(2021年6月18日)
比較・検索できる画面で見る レビューシート原本(行政事業レビュー見える化サイト)
出典:行政事業レビュー見える化サイト 令和7年度版のレビューシート(事業番号 7141)を加工。