次世代蓄電池・材料評価技術開発事業
経済産業省(商務情報政策局 電池産業課)の事業。令和7年度当初予算 20.0億円(前年度 18.0億円)、令和8年度概算要求 36.0億円。主な支出先は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術研究機構、技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター。
事業の目的
蓄電池は、モビリティの電動化や再生可能エネルギーの導入拡大等、2050カーボンニュートラルを実現するために不可欠であり、我が国が世界の蓄電池のサプライチェーンにおける中核を占めるようになっていくことが重要。そのためには、次世代電池の技術開発等により将来の市場獲得に向けた取組を推進することが必要不可欠。
これを踏まえ、現行の液系リチウムイオン電池(LIB)を超える性能を持つ次世代全固体LIBの早期社会実装と普及に向け、電池材料の製品化に必要なセル作成・評価を行うための標準電池モデルの開発など、材料評価共通基盤の構築を目指す。本事業で構築する材料評価共通基盤により、将来にわたる継続的な研究開発を支援することで、次世代電池の開発の加速とリスク低減、競争力の強化を図り、日本の蓄電池産業及び素材産業を活性化させることを目的とする。
また、現行の液系LIB生産に係る重要鉱物が特定国に依存しており、輸出管理による供給停滞など地政学リスクが顕在化していることから、サプライチェーンの持続可能性の向上に向けて、資源調達リスクを抑え、かつLIBと同等以上の性能を有する革新型蓄電池の実用化に向けた技術開発を行う。
事業の概要
本事業について、以下の研究開発・技術開発に係る取組を行う。
Ⅰ.全固体LIBについて
(1) 材料評価基盤技術開発
標準電池モデルを始めとする次世代全固体LIB用材料評価基盤技術を確立する。
(2) 全固体LIB特有の現象・機構解明
全固体LIB中のミクロな現象・機構(固体粒子同士の接触界面で起きている現象や劣化機構等)を解明する。また、そのための高度分析・解析技術を構築する。
(3) 電極・セル要素技術開発
次世代全固体LIBの電極・セルのための新材料を提案するとともに、(2)で得られた知見に基づき、新材料のポテンシャルを十分に引き出す要素技術の開発および検証を行う。これにより新たな標準電池モデルの開発など材料評価基盤技術開発の改良に繋げる。さらに、標準化を想定した試験評価データの蓄積と試験条件案の策定を行う。
Ⅱ.革新型蓄電池について
安価で供給リスクの少ない材料を使用し、かつ高い性能が期待される革新型蓄電池を開発する。開発は、大学、国研、材料・蓄電池・自動車メーカーで構成される産学連携・企業間連携の体制で行うことで、アカデミアの研究成果の速やかな民間移転と実用化検討を促す。
現状・課題
Ⅰ.全固体LIBについて
現状では全固体LIBの液系LIBに対するメリット(寿命・耐久性、急速充電性能)を引き出すまでには⾄っておらず、このためにはイオン伝導性等の性能を向上した固体電解質に加え、全固体LIB向けにカスタマイズされた正極・負極材料の探索と電池への適⽤技術が必須となる。
また、これまで開発された標準電池モデルは液系LIBのコンセプトをベースとしており、全固体LIBならではの新たな材料を評価、開発するための標準電池モデルの確⽴までは⾄っていない。そのため、現状の標準電池モデルを発展させ、全固体LIB向けの材料評価、開発につながる新規材料評価のための新たな標準電池モデルの開発が必要となる。
さらに、全固体LIBに期待される⾼い性能を安定的に引き出しサイクル寿命の向上や充放電による膨張収縮などに対する技術課題の解決のためには、特に固体電解質や活物質間の界⾯形成について、サイエンスに基づく現象解明が必要となる。
Ⅱ.革新型蓄電池について
世界的に蓄電池の需要拡大が見込まれる中で、蓄電池の生産に必要なリチウム・コバルト・ニッケル・黒鉛等について特定国に依存している状況であり、供給源の多角化及び重要鉱物に依存しない革新型蓄電池の開発が課題となっている。革新型蓄電池の実用化に向けて、まず実用化に必要な条件を満たす電池材料を探索するとともに、量産に向けた材料合成のスケールアップや工業製造プロセスの開発を通してサプライチェーンの構築を図ることが必要となる。
予算の推移
| 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度要求 |
|---|---|---|---|---|---|
| — | 0円 | 18.0億円 | 18.0億円 | 20.0億円 | 36.0億円 |
当初予算。うち特別会計 20.0億円(エネルギー対策)。
支出先(上位10者)
令和6年度の支出実績。全20者。
| 支出先 | 法人番号 | 契約方式 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術研究機構 | 2020005008480 | 運営費交付金交付 | 19.4億円 |
| 技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター | 8120905004522 | その他 | 13.8億円 |
| 一般財団法人日本自動車研究所 | 1010405010435 | その他 | 0.74億円 |
| 国立大学法人東京科学大学 | 9013205001282 | その他 | 0.65億円 |
| 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 7010005005425 | その他 | 0.54億円 |
| 一般財団法人ファインセラミックスセンター | 1180005014415 | その他 | 0.40億円 |
| 国立大学法人京都大学 | 3130005005532 | その他 | 0.40億円 |
| 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 2050005005211 | その他 | 0.35億円 |
| 公立大学法人大阪 | 5120005020803 | その他 | 0.34億円 |
| 国立大学法人豊橋技術科学大学 | 1180305003290 | その他 | 0.25億円 |
このテーマに入っています
同じ施策の事業
政策:6資源エネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進
施策:ー
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(AI基盤モデル及び先端半導体関連技術開発事業) 1,617億円
- 石油備蓄事業(うち国家備蓄石油増強対策事業(石油分)) 1,163億円
- 次世代半導体の量産等に向けた出資事業 1,000億円
- 電源等の立地地域への支援事業(うち電源立地地域対策交付金) 777億円
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 760億円
- 脱炭素成長型経済構造移行推進機構出資金 700億円
- GXサプライチェーン構築支援事業 610億円
- 石油天然ガス田の探鉱・資産買収等事業に対する出資金 563億円
- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金 470億円
- 石油備蓄事業(うち緊急時放出に備えた国家備蓄石油及び国家備蓄施設の管理委託費(石油分)) 468億円
根拠法令・関係する計画
- 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法 第十五条
- 特別会計に関する法律 第八十五条
- ○成長戦略実行計画(2021年6月閣議決定)
- ○自動車新時代戦略会議中間整理(平成30年7月経済産業省)
- ○蓄電池産業戦略(2022年8月策定)
- ○GX2040ビジョン~脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂~ (2025年2月策定)
- 〇グリーン成長戦略(2021年6月策定)
- 〇成長戦略フォローアップ(2021年6月閣議決定)
比較・検索できる画面で見る レビューシート原本(行政事業レビュー見える化サイト)
出典:行政事業レビュー見える化サイト 令和7年度版のレビューシート(事業番号 5856)を加工。