再エネ・洋上風力・蓄電池
三菱商事の撤退(2025年8月)を受け、洋上風力は「最安値で総取り」から「事業を完遂できる価格と体制」へ公募の軸を移した。太陽光は地上設置への支援を2027年度から外し、規律強化(アセス対象拡大・第三者確認)に舵を切った。系統用蓄電池は接続申込が急増し、空押さえ対策と予算拡大が同時に進んでいる。
選んだ理由:系統用蓄電池、洋上風力、ペロブスカイト太陽電池など。経産省と環境省の事業が並び、調達価格等算定委員会の議論と直結する。
中心の会議体・場
- 調達価格等算定委員会 経済産業省 · FIT/FIPの調達価格・基準価格、入札の上限価格について意見を出す(委員は国会同意人事)。
- 洋上風力促進WG・洋上風力促進小委員会 合同会議 経済産業省・国土交通省 · 再エネ海域利用法に基づく公募制度・運用指針、促進区域の案件形成の考え方を決める。
- 次世代電力系統ワーキンググループ 経済産業省 · 系統用蓄電池を含む発電設備の系統連系ルール(接続検討・空押さえ対策など)を検討する。
- 大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議 内閣官房 · メガソーラー対策パッケージ(自然環境・安全・景観・支援見直し)を決定した。
上の会議体は、テーマの中心として手で選んだもの。事業と会議体の自動の紐付け(事務局の課室の一致)は、テーマの事業52件のうち11件。
ブリーフ
対象期間 2026-06-01〜2026-09-29。「読み筋」は資料からの要約・解釈です。
2026.09.25 調達価格等算定委員会 第116回:促進区域外の着床式洋上風力、第4回入札の上限価格を審議
経済産業省
- 対象は着床式洋上風力(海洋再エネ整備法の適用外)の第4回入札で、募集容量190MW。
- 入札募集は2026年10月13日〜26日、結果公表は11月2日の予定。上限価格は募集開始時点では非公表(開札後に公表)で、上限価格案の資料2は非公開。
- 事務局資料はインフレや風車調達費の増加を踏まえた価格設定を論点とし、促進区域の「30円/kWh程度までを目安」とする方針も参照している。参考資料として発電側課金も配付。
原文:第116回 会議ページ / 資料1 上限価格の参考資料
2026.07.17 改正電気事業法が成立、アセス対象の太陽光規模引き下げも閣議決定
国会・環境省
- 改正電気事業法が参院で可決・成立(7月24日公布、法律第68号)。太陽光の支持物等について、第三者機関による工事前の技術基準適合性確認を導入する。
- 基幹送変電設備の大規模整備計画を大臣が認定し、広域機関が財政融資を活用して貸し付けられる仕組みも新設。
- 同日、環境影響評価法施行令の改正を閣議決定。太陽電池発電所の第一種事業を出力2万kW以上、第二種を1.5万〜2万kWとし、2027年4月1日に施行する(パブコメは6月2日〜7月1日)。
原文:参議院 議案情報(電気事業法改正) / 環境省 施行令改正の閣議決定 / 施行令改正案の概要(令和8年6月) / 長島・大野・常松 解説
2026.07.14 洋上風力 合同会議 第44回:当面の案件形成は「30円/kWh程度まで」を目安に
経済産業省・国土交通省
- 事務局は、2024年1月〜2026年3月に物価が約19%上昇、円安(対ドル約9%・対ユーロ約16%)、送電ケーブル価格が約67%上昇したと整理。主要機器は欧州からの輸入に依存。
- 条件に優れコスト効率的な海域から優先して案件形成し、「30円/kWh程度まで」を目安とする案を提示。2023年の発電コスト検証(30.9円/kWh)と日本風力発電協会の試算を勘案したもの。
- 運用指針改訂案のパブコメ結果を報告(74者・301件、うち事業実現性評価が101件)。同日、調達価格等算定委員会第115回も開催された。
原文:国交省 第49回小委員会(合同会議)ページ / 資料1 当面の案件形成の考え方 / 資料2 パブコメ結果 / ウインドジャーナル 解説(9/10)
2026.06.05 「一般海域における占用公募制度の運用指針」を改訂
経済産業省・国土交通省
- 「想定供給価格幅」を設け、下限以下の価格提案は一律で満点とし、価格だけで勝敗が決まらない形にした。
- 事業実現性の評価を強化(財務基盤・施工計画の具体性、インフレ・為替・金利の感応度分析)し、迅速性の配点は引き下げた。
- 対象は三菱商事が撤退した第1ラウンド3海域(秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、由利本荘市沖、千葉県銚子市沖)の再公募など。実際の公募開始は秋以降の見込みと報じられた。
原文:経産省 報道発表 / ウインドジャーナル(6/8) / DeepWind 解説
次に来ること
- [2026年10月13日〜11月2日] 着床式洋上風力(整備法適用外)第4回入札の募集と結果公表 10月26日締切、11月2日に結果と上限価格が公表される予定。30円/kWh目安との関係が見どころ。 · 根拠
- [2026年秋以降] 第1ラウンド3海域の再公募開始 改訂運用指針のもとで海域別の公募占用指針を示し、公募に入る見込み。公募期間は開始後おおむね6か月と報じられている。 · 根拠
- [2027年1月] 長期脱炭素電源オークション 第2・第3ラウンドの洋上風力事業者の継続参加が不可欠とされる。 · 根拠
- [2027年4月1日] 太陽光のアセス対象拡大(施行令改正)施行 第一種2万kW以上・第二種1.5万〜2万kW。手続開始済みの事業は旧基準の経過措置あり。 · 根拠
流れ
論点
| 論点 | 国・事務局の方針(出典) | 事業者・懸念側(出典) | いま |
|---|---|---|---|
| 洋上風力の価格水準 | 条件の良い海域から「30円/kWh程度まで」を目安に案件形成(合同会議第44回 資料1) | 業界からは「厳しい価格水準」との評価。3海域すべてに一律適用する方針ではないと報道(ウインドジャーナル 9/10) | 目安として提示。R1再公募・区域外第4回入札で具体化中 |
| 公募の評価軸:価格か実現性か | 想定供給価格幅を設け、価格と事業実現性を同等に評価。迅速性の配点は引き下げ(運用指針 2026.6改訂) | 実現性評価の「高度な基準」やチェック項目の具体的開示、第三者評価の公平性を求める意見が101件(パブコメ結果) | 指針は確定。海域別の公募占用指針で具体化 |
| 撤退時のルール | 撤退事業者の公募参加停止措置などを整備(合同会議 2025.9〜) | 撤退時の保有データの扱いの明記、親会社・子会社まで参加資格停止を広げるべきとの意見21件(パブコメ結果) | 海域別の公募占用指針で定める予定 |
| 地上設置太陽光への支援 | 2027年度以降、地上設置の事業用太陽光はFIT/FIPの対象外(算定委意見 2026.2) | 対策パッケージは「廃止を含めて検討」とし、屋根設置など地域共生型へ重点化(関係閣僚会議 2025.12) | 2027年度から対象外で決着。屋根設置は継続支援 |
| メガソーラーの規律 | アセス対象を2万kW以上(第一種)へ引き下げ、工事前の第三者適合性確認を義務化(施行令改正・改正電気事業法) | 手続開始済みの事業は旧基準で継続できる経過措置(施行令改正案の概要) | 法令は成立・決定済み。2027年に施行 |
| 系統用蓄電池の接続 | 空押さえ対策として保証金増額、工事費負担金の分割払い厳格化(次世代電力系統WG 2026.2) | 接続検討の段階で想定を上回る工事費が判明し、契約に進まない案件が多い(同WG資料が挙げる課題) | 2026年4月から運用開始。申込は約2,869万kW(2025年末) |
| ペロブスカイトとFIT/FIP | 戦略は2040年に国内約20GW、FIT/FIPの新区分は「引き続き検討」(次世代型太陽電池戦略) | FIT/FIPは国民負担に支えられており、量産化・低コスト化の状況を確認しながら来年度以降議論(算定委意見 2026.2) | 新区分は未設定。予算による導入支援が先行 |
各行は会議資料・報道の要約。「ではないか」など原文の語尾が示す結論の強さに注意。事業者側の欄は、パブコメ結果や審議会資料に記載された意見・課題の整理であり、特定企業の立場ではない。
人
中心の会議体の構成員(公開名簿より)。
洋上風力促進WG(経産省)・洋上風力促進小委員会(国交省)合同会議
名簿の時点 合同会議 第44回(2026-07-14)配付の委員名簿
- 山内 弘隆 座長(洋上風力促進WG) 一橋大学 名誉教授/(一社)低炭素投資促進機構 理事長
- 加藤 浩徳 委員長(洋上風力促進小委員会) 東京大学大学院工学系研究科 教授
- 飯田 誠 東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授
- 石原 孟 東京大学大学院工学系研究科 教授
- 大串 葉子 同志社大学大学院ビジネス研究科 教授
- 片石 温美 中央大学研究開発機構 客員教授
- 菊池 喜昭 東京理科大学創域理工学部社会基盤工学科 嘱託教授
- 木村 琢麿 千葉大学大学院社会科学研究院 教授
- 桑原 聡子 外苑法律事務所 パートナー弁護士
- 武田 邦宣 大阪大学 理事・副学長
- 原田 文代 株式会社日本政策投資銀行 常務執行役員
お金
このテーマに束ねた52事業。令和7年度当初 1,235億円 → 令和8年度要求 2,019億円。
注目点
- 11月2日に公表される区域外着床式第4回入札の結果と上限価格が、30円/kWh目安とどう整合するか。
- 第1ラウンド3海域の海域別公募占用指針で、想定供給価格幅・落札制限・撤退ペナルティがどう書かれるか。
- 2027年1月の長期脱炭素電源オークションに第2・第3ラウンドの洋上風力事業者がそろって参加するか。
- 系統用蓄電池は補助予算が大きく増える一方、接続規律とオークション要件が厳しくなっており、実際の連系量がどう動くか。
- 改正電気事業法(公布から9か月以内施行)とアセス政令(2027年4月施行)の下位ルールの中身。
出典
- 調達価格等算定委員会(開催一覧)
- 第116回 算定委 資料1
- 令和8年度以降の調達価格等に関する意見(2026-02-05)
- 洋上風力促進小委員会 過去の開催状況(国交省)
- 合同会議 第44回 資料1 当面の案件形成の考え方
- 合同会議 第44回 資料2 パブコメ結果
- 合同会議 第44回 委員名簿
- 運用指針改訂 報道発表(2026-06-05)
- 次世代電力系統WG 第7回 資料1-1(2026-02-09)
- メガソーラー対策パッケージ概要(2025-12-23)
- 参議院 議案情報:電気事業法の一部を改正する法律案
- 参議院 議案情報:再エネ海域利用法改正案
- 環境省 環境影響評価法施行令改正の閣議決定
- 次世代型太陽電池戦略(2024-11)
- 長期脱炭素電源オークション第3回の解説(エナジーアグリラボ)
- 三菱商事 事業性再評価の結果(2025-08-27)
- ウインドジャーナル 30円/kWh解説(2026-09-10)
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